インプライド・ボラティリティ(IV)とは?マンションの例えで理解する
Day5でプレミアムの内訳(本質的価値+時間的価値)を学びました。今日はその時間的価値の大きさを左右する、インプライド・ボラティリティ(IV)という考え方に入ります。
あなた:今日はIVについて教えてください。
師匠:またマンション予約の例えです。同じ「1000万円で買える予約権」でも、2つのマンションを比べてみましょう。
- マンションA:築古で価格が長年ほぼ横ばいの、落ち着いた住宅街の物件
- マンションB:再開発計画のウワサがある地域の物件。値上がりするかもしれないし、計画が中止になって値下がりするかもしれない
どちらも「1000万円で買える予約権」という中身は同じでも、この2つの予約権が同じ値段で売れると思いますか?
あなた:マンションBのほうが高そうです。
師匠:そのとおりです。値動きが激しい(荒れる)ぶん、満期までに大きく値上がりする可能性も大きいからです。同時に大きく値下がりする可能性もありますが、権利を「買う」側は損失がプレミアム分に限定されるので、上振れの可能性だけにお金を払う価値があります。つまり、値動きの荒さが大きいほど、時間的価値(プレミアム)は高くなるわけです。
インプライド・ボラティリティの定義
- ボラティリティ=価格の値動きの荒さ(大きく動くか、あまり動かないか)のこと
- インプライド・ボラティリティ(IV)=市場で実際に取引されているオプションのプレミアムから逆算した、「これから先、これくらい値動きするだろう」という市場の予想値。パーセンテージ(例:年率30%)で表される
- 「インプライド(implied)」=「暗示された」「織り込まれた」という意味。過去の実績ではなく、プレミアムの価格の中に織り込まれている将来への市場の期待を指す
これと対になる概念が「ヒストリカル・ボラティリティ」(過去の実績としての値動きの荒さ)です。IVはあくまで未来予想である点が異なります。大事なのは、IVが予測しているのは株価の方向(上がるか下がるか)ではなく、どれくらい動くか(振れ幅)だけだということです。この区別を曖昧にすると、後のデルタ(方向への反応度)とベガ(振れ幅への反応度)の違いが混同しやすくなります。
IVが動きやすい場面
- 決算発表など重要な発表の直前は、結果次第で株価が大きく動く可能性があるため、IVが上がりやすい(=プレミアムが上がりやすい)
- 発表が終わって不確実性が消えると、IVは急に下がることが多い(これは項目9「ベガ」でさらに詳しく扱います)
紙ヒコーキの実験を通じてオプション価格の仕組みを解説している吉本佳生さんの投資リスクとのつきあい方 下 紙ヒコーキで学ぶオプション取引でも、値動きの荒さがオプション価格にどう織り込まれるかが、日経225オプションの実例つきで説明されています。
まとめ|IVの理解度チェック
師匠:3問、答えてみてください。
- インプライド・ボラティリティ(IV)とは、何から逆算した何の予想値ですか?
- 値動きの荒さが大きい銘柄ほど、プレミアム(特に時間的価値)はどうなりますか?
- IVは「過去の値動きの実績」と「これからの値動きの予想」のどちらを表していますか?
あなた:1. プレミアムから予測した未来の予測値2. 高くなる3. これから
師匠:3問とも正解です。1問目は「プレミアムから逆算した未来の予測値」という捉え方で合っていますが、正確には「値動きの荒さ(ボラティリティ)の予測値」です。IVは株価の方向を予測しているのではなく、どれくらい動くかを予測している、という点がポイントです。
これで項目6「インプライド・ボラティリティ(IV)の基本」は完了です。次回は項目7「デルタ(Δ)」を学びます。
(※この記事は個人の学習記録であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません)
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