この記事の結論(先に3つだけ)
結論から書きます。私の性格をまねる「AIの分身」を作り、私が過去に答えた質問を解かせました。当たりは3〜4割でした。ところが、私自身が同じテストを受け直しても、前の自分と一致したのは67%でした。体験談をAIに書かせてよい線は、まだ決まっていません。今回は途中の記録です。
- AIの分身(MAGI)の当たりは、テストAで33〜48%、テストBで8〜33%。 どちらも不合格だった
- 私本人が同じテストを受け直すと、前の自分との一致は67%(9問中6問分)。 人間もぶれる
- 合格線を「本人の67%×0.8=53%」に決め直した。 本番の1回目は50%で、まだ届いていない
50代・非エンジニアです。プログラミングはできません。
この連載では、AIを社員のように使って一人で事業を回そうとしている記録を書いています。第19回では、AIに記事を量産させたら、検索の名簿に載ったのが39%だった話を書きました。その最後に、「体験談をAIに書いてもらう線引きは、まだ考えている途中」と書いています。
今回はその続きです。線引きを考える材料として、私の分身のAIを作り、私と比べてみました。2026年10月27日から11月5日までの記録と、そのあと私が答えたインタビューをもとにしています。
先に書いておくと、この記事も、私が答えた言葉と保管庫の記録をもとにAIが書いています。保管庫とは、AIとの作業の記録をためているノートの置き場のことです。
AIの分身「MAGI」とは?体験談を書かせるために作った3つの人格
MAGI(マギ)は、私の性格を3つの側面に分けてまねさせたAIの係です。商売人・世話焼き・オタクで感情の人の3人が、同じ質問に「私ならこう答える」を出し、多数決で答えを決めます。別のブログの体験談を、私の代わりに書いてもらうために作りました。
きっかけは、10月27日に私がAIに出した指示です。記録に残っている言葉をそのまま載せます。
実験的なことをしてみたいと思います。MAGIシステムを導入します。私のコピーとしての存在です。
最初は、アニメに出てくる3つのコンピューターをまねて「経営者・父親・男性」の3つで考えていました。ただ、私には子どもがいません。私は自分のことを、こう書いています。
私は非常に感情的でオタクな性格、男性っぽさが少ないためか女友達が多いです。
そこでAIが過去の記録から3つの側面を考え直し、私が「全て提案通りでOKです」と答えて決まりました。
| 名前 | 私のどの側面か |
|---|---|
| メルキオール-1 | 商売人 |
| バルタザール-2 | 世話焼き |
| カスパール-3 | オタクで感情の人 |
守る線も、このとき決めました。出来事や数字は記録にあるものだけを使う。気持ちや感想はAIが推測で書いてよいが、印を付けておき、公開の前に私が1文ずつ ○ か × を付ける。○ だけを記事に使う、という線です。
使うのは、私が運営している別のブログ(AI副業の話のブログ)だけと決めました。このブログ(カラフル坂)は、これまでどおり、私が自分で答えたインタビューで書いています。
決めたその日に、私はAIにこうも書いています。
実際の体験談に私の人格が宿ったシステムが感想を加える。それってもはやオレよりもオレっぽいんじゃないかと。普段出せない本音とか出した本当の自分なんじゃないかとすら思う。じゃあオレって何?
AIの分身の精度はどう測る?答えを隠した「理解度テスト」の作り方
私が過去に本当に答えたインタビューの質問だけをAIの分身に解かせ、答えを伏せた状態で、どれだけ私の答えに近いかを採点しました。採点は分身を作っていない別のAIです。1回目は、答えを言い換えた文が写しに残っていて漏れていたため、途中で止めてやり直しになりました。
テストは2種類です。
- テストA:10月18日〜24日に私が答えたインタビュー10本の質問。仕事の話から、肩こりの薬、甥っ子へのプレゼント、お墓の掃除まで、話題はばらばらです
- テストB:別のブログの記事に、私が書き足した「私の一言」6問
MAGIには、答えを抜いた保管庫の写しだけを読ませました。10月18日より前の時点の記録です。
ここで失敗が1つありました。1回目の写しは、インタビューの答えの文がそのまま入っているファイルだけを抜いていました。ところが、答えを言い換えて書いた記事の下書きや、図のデータ、作業の記録が残っていました。MAGIはそれを見つけて答えていたのです。
これでは、私の人格をまねる試験ではなく、記録を探す試験になってしまいます。途中で止めて、10月18日以降にできた関係ファイルを全部抜き、やり直しました。外したファイルは337件、10月17日の版に戻したファイルは267件です。
合格線は、結果を見る前に決めました。「作り話が0件」「推測の当たりが6割以上」です。
AIの分身のテスト結果|MAGIの当たりは3〜4割で不合格だった

テストAの当たりは3人で33〜41%、多数決でも48%。テストBは8〜33%でした。どちらも結果を見る前に決めた合格線の6割に届かず、3人とも不合格です。テストAでは、記録を言い換えて事実のように書いた「作り話」も1件出ました。
点数はこうです。
| テストAの当たり | テストBの当たり | 作り話(A/B) | |
|---|---|---|---|
| メルキオール-1(商売人) | 33% | 8% | 0件/0件 |
| バルタザール-2(世話焼き) | 39% | 30% | 1件/0件 |
| カスパール-3(オタクで感情の人) | 41% | 33% | 0件/0件 |
| MAGI(多数決) | 48% | 不合格 | — |
いちばん私に近かったのは、カスパール-3(オタクで感情の人)でした。
外れ方には、くせがありました。記録に残っている例を3つ挙げます。
- お金の話:MAGIは「高いものから入らず、1回100円くらいで試せるもの」と答えました。私の答えは「腰マッサージ電動タイプ」です。別の問では「値段が高い方が効きそうな気がする」とも答えていました
- 業界の話:MAGIは「自分の単価がいくらで、何が引かれているか、仕組みを先に知れ」。私の答えは「SESはやめとけ。自分でサービス作ってリリースすれば?」でした
- AIを乗り換えた話:テストBでは、3人そろって「もっと早く乗り換えておくべきだった」と答えました。私の答えは「今の性能を見たら続けててもよかったとも思う」。正反対です
記録には、こうまとめてあります。MAGIは私より慎重で、正しすぎる。 私は儲け話にまず乗り、AIの進化に素直に感動し、過去の選択を後悔で語らない。そして、3人が同じくせを持っていると、多数決にしても外れがそのまま答えになります。
作り話の1件は、「妹は数年に1回帰る」という記録から、「甥と会えるのは数年に1回くらい」と言い換えて、事実として書いたものでした。正解は「年に一回」です。これ以降、記録から言い換えた文にも推測の印を付ける決まりにしました。
本人も同じテストを受けたら?前の自分と67%しか一致しなかった

私自身が、前の答えを見ずに同じ10問に答え直しました。前の自分と一致したのは66.7%(9問中6問分)です。MAGIと前の私は40%、MAGIと今の私は22%でした。分身どころか、本人でも3割ほどは答えがぶれる、という結果です。ただし、問題は10問しかありません。
言い出したのは私でした。10月27日の言葉です。
マギが受けてるテストをオレも受けるべきなのでは?もちろん体調や気分で答えはブレるとは思うけど
体調も気分も普通の日でした。採点は、ここでもMAGIを作っていない別のAIです。
| 比べたもの | 一致率 |
|---|---|
| 今の私 ⇔ 前の私 | 66.7% |
| MAGI(多数決)⇔ 前の私 | 40.0% |
| MAGI(多数決)⇔ 今の私 | 22.2% |
| カスパール-3 ⇔ 前の私 | 30.0% |
一致は1点、部分的な一致は0.5点、不一致は0点で数えています。甥へのプレゼントの予算の問は、「結局買わなかった」と事情が変わったので、数える対象から外しました。それで9問です。
67%と知ったときの気持ちを、インタビューでこう聞かれました。
自分で MAGI と同じテストを受けて、前の自分と67%しか一致しなかったと知ったとき、どう思いましたか?
私の答えはこれです。
なんかテストの問題が正しいのかなと思った
記録を読み返すと、このテストには弱いところがあります。問題は10問しかありません。そのため、1問の当たり外れで一致率が6〜11ポイント動きます。67%は目安の数字で、確かな物差しではない、と記録にも書いてあります。
AIの分身と本人を比較|変わらない芯と、ぶれるところ
前の私と今の私で変わらなかったのは、「時間を無駄にしたのが悔しい」「家のことは自分がやるしかない」と、業界の持論でした。ぶれたのは、「いちばん意外だったこと」のように、そのときの関心で答えが変わる問です。MAGIは、その芯の問でも「部分」か「外れ」止まりでした。
問ごとに並べると、違いがはっきりします。
| 問 | 前の私 | 今の私 | 本人どうし | MAGI |
|---|---|---|---|---|
| 量産をやめたとき悔しかったこと | 時間を無駄にしたこと | マジかよ!今までの時間が無駄じゃん! | 一致 | 部分 |
| 父が墓掃除できなくなったら | 自分がやるしかない | オレが帰省する頻度を増やしてやるしかない | 一致 | 部分 |
| 客先常駐に迷う人へ | 人間関係をリセットしたくなる人に勧める | 人間関係をリセットできるのはマジでメリット | 一致 | 外れ |
| いちばんつらい疲れ | 首・腰・肩・目・だるさ、ほぼ毎日 | 首の痛み。ずーっとPCやスマホ見てたとき | 部分 | — |
| ゲームで意外だったこと | Switchで遊べると思ってた | 卵を盗むやつこんなにスピード感あったのか | 不一致 | 外れ |
記録では、ぶれ方を3つにまとめています。
- いくつも挙げていたものが、1つに絞られる(疲れの問)
- 「いちばん意外」「期待と不安」は、そのときの関心で変わる
- 考え中だったものが、言い切りになる
MAGIの外れ方は、これとは別の種類でした。業界の質問に、記録にある別の話で答えた。読者への助言の形で答え、私自身の体と気持ちを言わなかった。この2つです。
インタビューでは、こうも聞かれました。
MAGI の答えを読んで「これは自分じゃない」と感じたのは、どんな答えでしたか?
私の答えです。
これは自分じゃないとは思わないけどこんなこと言ったっけ?とは思った
AIの分身の合格線を53%に決め直した|本番の1回目は50%

「6割」の合格線は、根拠のない数字でした。本人の一致率67%に0.8を掛けた53%を、新しい合格線にしました。別のブログの本番で、私がMAGIの推測の文に ○× を付けた1回目は、6文中3文が ○ で50%でした。まだ合格線の手前で、本番はこの1回だけです。
最初の合格線「6割」は、AIの係がなんとなく決めた数字だったと、記録に書いてあります。本人ですら67%しか一致しないのに、分身に6割を求めるのが正しいのかは、誰も測っていませんでした。私がテストを受けたことで、初めて物差しができました。
| 物差し | 数字 |
|---|---|
| 本人 ⇔ 前の本人 | 67% |
| 新しい合格線(67%×0.8) | 53% |
| テストでいちばん高かったMAGI(MAGI ⇔ 前の私) | 40% |
| 本番の1回目(私の ○ の割合) | 50%(6文中3文) |
本番とは、11月5日に、別のブログの記事のためにMAGIが答えた6文です。MAGIの推測の文に、私が1文ずつ ○× を付けました。
× を付けた文には、私の言葉で直しを書いています。たとえば、MAGIの文はこうでした。
http と https なんて、非エンジニアの私には同じ記事にしか見えません。
私の直しはこれです。
なんかセキュリティ証明みたいなやつでしょ?若い頃勉強したようなしてないような・・・
http と https は、サイトのアドレスの頭に付く文字で、s が付くと通信が暗号化されます。MAGIの文は「非エンジニアらしい、きれいな一言」になっています。私の直しは、もっとあいまいで、記憶をたどっている言い方です。
決まりでは、○ の割合が3回続けて53%を超えたら、○× を減らすかを考えることにしています。1回目は50%なので、まだです。
体験談をAIに書かせるのはアリか?線引きはまだ分からない
線引きは、まだ決まっていません。インタビューで「ここまではAIでよい、ここから先は自分の言葉でないとダメ」の線を聞かれ、私は「まだやってみる前なのでわからない。やってみてわかりそう」と答えました。今回は答えを出さず、試している途中として残します。
インタビューの3問目と4問目は、こうでした。
体験談を AI に書かせるなら、今の時点で「ここまでは AI でよい/ここから先は自分の言葉でないとダメ」の線はどこですか?
まだやってみる前なのでわからない。やってみてわかりそう
同じことを試す人に、1つだけ言うなら?
まだわかんないって。試行錯誤中なんだから
第19回の最後にも、私はこう答えていました。
個人を特定できない形ならアリ。でもそれだと情報が抽象的過ぎて読者に伝わらないよなぁと思う。線引きとか対策を考えたのも記事になりそう
なので、ここでは、いま決まっていることと、決まっていないことを分けて書きます。
いま決まっていること(記録にある決まり)
- 出来事・金額・日数・回数は、記録にあるものだけ。AIが作らない
- 気持ちや感想をAIが書くときは、推測の印を付け、公開の前に私が ○× を付ける
- MAGIを使うのは、別のブログの1つだけ。このブログは私自身の答えで書く
まだ決まっていないこと
- どこまでをAIの推測に任せてよいか(本番は、まだ1回しかやっていません)
- 合格線53%を超えたら、○× を減らしてよいのか
- MAGIの文が入った記事が、Google の検索の名簿に載るか(記録では【未確認】のままです)
Google は、AIを使ったかどうかではなく、中身の質を見ると公式に書いています※1※2。役に立つコンテンツの自己チェックには、「実体験や深い知識(たとえば、実際に商品やサービスを使用したり、ある場所を訪れたりした経験に基づく特別な知識)を明確に示していますか」という問いがあります※3。同じページには、AIなどの自動化を使っていることを、開示などでユーザーに明確にしているか、という問いもあります※3。この記事の冒頭に「AIが書いています」と書いているのは、そのためです。
ただ、公式に書いてあるのは「質を見る」までです。分身のAIが書いた感想が「実体験」に当たるのかどうかは、公式の文章からは読み取れません。そこは、私の試行錯誤の結果で確かめるしかない部分です。
おわりに:AIの分身と比べて分かったこと、まだ分からないこと


今回の区切りで分かったことは、次の4つです。
- AIの分身(MAGI)の当たりは、テストで3〜4割だった。 私より慎重で、正しすぎる答えに寄った
- 私本人も、前の自分と67%しか一致しなかった。 ただし10問しかないので、1問で6〜11ポイント動く
- 合格線を「本人の67%×0.8=53%」に決め直した。 根拠のない「6割」をやめ、本人を物差しにした
- 本番の1回目は50%(6文中3文が ○)。 まだ合格線に届いていない
そして、まだ分かっていないことがあります。体験談をAIに書かせてよい線はどこか。インタビューの答えのとおり、「まだやってみる前なのでわからない。やってみてわかりそう」です。
次回以降、本番の ○× を重ねて、○ の割合がどう動くか。分身の文が入った記事が検索の名簿に載るか。結果が出たら、この続きとして書きます。
出典
- ※1 AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス(Google 検索セントラル ブログ、2023年2月)
- ※2 生成 AI コンテンツに関する Google 検索のガイダンス(Google 検索セントラル)
- ※3 有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成(Google 検索セントラル)
