墓じまいの費用はいくら?ご先祖の墓を前に、50代の私が内訳と「しない選択」まで調べた

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実家の近くに、ご先祖から続くお墓があります。

今は、父が年に数回、掃除をしています。お墓まわりの植木の手入れも父です。私は、盆と正月に帰ったときに手を合わせるくらいで、そのお墓に何人の先祖が眠っているのかも、正直よく分かっていません。

友人のお父さんが亡くなったのをきっかけに、自分の実家のことを考えるようになりました。そこで、どうしても避けて通れないのがお墓です。

感情的に考えると、ご先祖様から続いている家を売ったり、墓じまいをしたりするのには抵抗がある。

これが、私の本音です。

かといって、自分が歳を取ってから、あの村に戻って暮らせるのか。暮らしたいのか。そう聞かれると、答えに詰まります。実家まで電車で2時間。父がやっている年数回の掃除を、いずれ誰が引き継ぐのかも、まだ決まっていません。

だから、決める前に、まず知っておくことにしました。墓じまいには、いくらかかるのか。 何にお金がかかって、どこで揉めやすいのか。そして、墓じまいをしないなら、どんな守り方があるのか。調べたことを、そのまま書いておきます。


墓じまいの費用は全部でいくら?まず内訳の目安を知りたい

墓じまいの費用は、全体でおよそ30万〜200万円前後と幅があります。 大きく分けると、お墓を片付ける費用(墓石の撤去・閉眼供養)と、取り出した遺骨を納める先の費用の2つです。墓石の撤去は1㎡あたり10万〜15万円程度が目安とされ、お墓が広いほど、運び出しにくい場所ほど高くなります。金額は地域と業者で大きく変わるため、見積もりで確かめるのが前提です。

墓じまいの費用を、項目ごとに並べるとこうなります※1。

項目 目安 何のお金か
墓石の撤去・処分 1㎡あたり10万〜15万円程度(全体で20万〜150万円以上) 石を解体して運び出し、更地に戻す工事
閉眼供養のお布施 3万〜10万円前後 お墓から魂を抜くとされる法要で、僧侶に渡すお礼
墓地の返還 0〜数万円 返還の手数料や、未払いの管理費の精算
新しい納骨先 5万〜50万円(選ぶ先で大きく変わる) 取り出した遺骨を納める場所の費用
役所の手続き 無料〜数百円程度の自治体が多い 改葬許可の申請など

ただ、この表だけでは、うちがどこに入るのかは分かりません。

全体の数字だけを見ると30万円で済みそうにも、200万円かかりそうにも見えます。幅の理由は、ほとんどが墓石の撤去と新しい納骨先の2つです。この2つを、うちの場合に当てはめて考えてみることにしました。

なお、ここに挙げた金額は、墓じまいの事業者などが示している目安です。国がまとめた「墓じまいの平均費用」のような公式の統計は、私が調べた範囲では見つかりませんでした。だからこそ、実際の金額は複数の石材店から見積もりを取って確かめることになります。


墓じまいの費用が高くなるのは、どんなお墓?

区画が広い、墓石が大きい、基礎がコンクリート、傾斜地にある、重機が入れない。こうした条件が重なると、墓じまいの費用は高くなりやすいとされています。 地方は人件費や処分費が都市部より安めな一方、墓地の面積が広く、区画あたりの工事費はかえって高くなりやすいそうです。古くから続く家のお墓ほど、見積もり前に条件を確かめておく必要があります。

古くから続く家のお墓ほど、ここが関わってきます。

費用が高くなりやすい条件として、次のようなものが挙げられています※1。

  • 墓石が大きい
  • 基礎がコンクリートで固めてある
  • 傾斜地にある
  • 石の柵(外柵)がある
  • 参道や搬出ルートが狭く、重機が入れない(手作業が増える)
  • 山間部で、運搬費や特別な作業費がかかる

そして、地方のお墓については「人件費や処分費は都市部より安めだが、墓地面積が広く解体・搬出量が多いため、区画あたりの工事費は高くなりやすい」と書かれていました。

うちの実家は、築200年ほどの旧家です。お墓も、それだけ長く続いてきた家のお墓ということになります。区画の広さも、墓石が何基あるのかも、私はまだ測ったことがありません。

1㎡あたり10万〜15万円という目安でいえば、4㎡なら40万〜60万円、10㎡なら100万〜150万円です。面積が分かるだけで、ざっくりした桁が見えてきます。

遺骨が何人分あるかも、費用と手間に関わる

もう1つ気になったのが、お墓に入っている遺骨の数です。

墓じまいで遺骨を別の場所に移すことを、法律では「改葬」といいます。長野市の案内では、改葬の申請書や証明書は亡くなった方お一人ごとに1通必要で、一覧表を添えれば1通にまとめられる、とされていました※2。手続きは、お墓単位ではなく、遺骨の人数単位で考えるものなのです。

古い家のお墓には、何代分もの遺骨が納められていることがあります。人数が多ければ、取り出す作業も、新しい納骨先の費用も増えます。このお墓に誰が入っているのかも、父に確かめておかなければならないことの1つです。


墓じまいの費用に入る「離檀料」は、払わないといけない?

離檀料は、檀家をやめるときに寺へのお礼として慣習的に支払うお金で、明確な基準はありません。 国民生活センターには、墓じまいのときに高額な離檀料を求められたという相談が寄せられています。金額に納得できないときは、まず寺と話し合うのが基本です。困ったら、消費者ホットライン「188」に相談できます。

お寺の墓地にお墓がある場合、墓じまいは「檀家をやめる」ことにもつながります。そのときに出てくるのが、離檀料という言葉です。

熊本市のページには、国民生活センターの注意喚起として、こう書かれていました※3。

  • 墓じまいの際に、高額なお布施(いわゆる「離檀料」等)を要求されたという相談が寄せられている
  • 離檀料に明確な基準はなく、金額に納得がいかない場合は、基本的には寺などと話し合うことになる
  • 墓じまいは勝手にはできず、寺などが発行する「埋葬証明書」などが必要。家族や親族を交えて、よく話し合う

お礼の気持ちとは別に、金額の話になったときに慌てないよう、「基準はない」ということは先に知っておく価値があります。

2026年に、国が新しい取り扱いを示していた

調べていて「へえ」と思ったのが、2026年1月の動きです。

墓じまいで遺骨を移すには、役所の許可が必要です。その申請には、今のお墓の管理者が書く「埋蔵証明書(埋葬の事実を証明する書類)」を添えることになっています。

ところが、お寺から反対されて、この証明書を書いてもらえないという相談があったそうです。総務省の東北管区行政評価局がこれを調べて厚生労働省に伝えた結果、2026年1月に厚生労働省がQ&Aを作り、自治体に知らせました。証明書をどうしても出してもらえない特別な事情がある場合に、お墓の写真や、出せない経緯を書いた申述書などを代わりの書類にできる、という例が示されています※4。

もちろん、これは揉めてしまったときの話です。まずは家族とお寺で、よく話し合うことが先です。それでも、「話がこじれたら動けない」わけではない、ということは覚えておけます。


墓じまいの費用とは別に、遺骨の行き先にはいくらかかる?

取り出した遺骨を納める先によって、費用は約5万円から300万円以上まで変わります。 他の人と一緒に納める合祀墓がいちばん安く、樹木葬・納骨堂と続き、新しく一般のお墓を建てるといちばん高くなります。「墓じまい」は片付けて終わりではなく、遺骨の行き先までがひとつながりです。

新しい納骨先の費用の目安は、次のとおりです※1。

納骨先 費用の目安 どんなところか
合祀墓 約5万〜10万円 ほかの人の遺骨と一緒に納める。あとから取り出せないことが多い
海洋散骨 約5万〜40万円 粉にした遺骨を海にまく
樹木葬 約20万〜80万円 墓石の代わりに樹木を目印にする
納骨堂 約50万〜150万円 屋内の施設に遺骨を納める
一般墓 約150万〜300万円以上 新しい場所に、もう一度お墓を建てる

この表で分かったのは、墓じまいの総額を決めるのは、片付けより「次をどうするか」だということです。

たとえば、墓石の撤去に60万円かかったとしても、合祀墓なら合計で70万円前後です。新しく一般のお墓を建てるなら、200万円を超えることもありえます。

遺骨を家に置いておく「手元供養」という方法もあります。ただ、手元に置いた遺骨を、自分のあとに誰が引き継ぐのか。そこまで考えて選ぶ必要があります。


墓じまいの手続きと費用は、どんな順番で進む?

大まかには、家族・親族と話す→新しい納骨先を決める→今の墓地から埋蔵証明書をもらう→役所で改葬許可を取る→閉眼供養→遺骨を取り出して墓石を撤去→新しい納骨先へ、の順です。 改葬には、法律で市町村長の許可が必要と決まっています。費用は、納骨先の契約、お布施、工事と、段階ごとに出ていきます。

墓地、埋葬等に関する法律の第5条では、改葬をしようとする人は、市町村長の許可を受けなければならない、と定められています※5。許可を出すのは、今、遺骨がある場所の市町村です。

手続きの流れを、私なりに順番に並べるとこうなります。

  1. 家族・親族と話し合う:誰が費用を出すか、どこに移すかを決める
  2. 新しい納骨先を決めて契約する:受け入れてもらえることを証明する書類(受入証明書)をもらう
  3. 今の墓地の管理者から埋蔵証明書をもらう:お寺なら、ここで離檀の相談もする
  4. 役所で改葬許可を申請する:許可が出ると「改葬許可証」が交付される
  5. 閉眼供養をして、遺骨を取り出す
  6. 墓石を撤去して、区画を返す
  7. 新しい納骨先に遺骨を納める

総務省の資料によると、改葬の件数は2014年度の約8.4万件から、2024年度には約17.6万件に倍増しています※4。10年で2倍です。それだけ、同じことで悩んでいる家が増えているということだと思います。

手続きの細かい書類は、自治体ごとに違います。申請の前に、お墓がある市町村の窓口に確かめるのが確実です。


墓じまいの費用は誰が出す?きょうだいで決めておくこと

お墓は相続財産とは別に、「祖先の祭祀を主宰する人」が引き継ぐと民法で定められています。 誰がその役になるかは、亡くなった人の指定や慣習で決まります。お墓を引き継いでも相続税はかかりません。ただ、墓じまいの費用を誰が出すかは法律で決まっていないので、きょうだいで先に話しておくほうが揉めずに済みます。

民法の第897条には、お墓や仏壇などは、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき人が引き継ぐ、と書かれています※6。家や預金のように、相続人で分ける財産とは扱いが違います。

税金の面でも、国税庁のページには、相続税がかからない財産として「墓地や墓石、仏壇、仏具」などが挙げられていました※7。

つまり、お墓を引き継ぐ人は、ふつうは1人です。うちの場合、妹は遠方に嫁いでいて、帰ってくるのは数年に1回。盆と正月に帰っているのは私です。【推測】このままいけば、お墓を引き継ぐのは、たぶん私になります。

だからこそ、決めておきたいことがあります。

  • 墓じまいをするか、しないか。親はどう思っているか
  • するなら、費用を誰がどれだけ出すか
  • しないなら、掃除や管理を誰が、どのくらいの間隔でやるか

親が元気なうちに、親の気持ちを聞いておくこと。 生前整理のやることリストに書いた「お墓をどうしたいか」は、まさにここにつながります。

→ 生前整理のやることリスト|50代、友人の親の死で「うちもいつか」と考えて書き出した8つのこと

税金や相続の具体的な扱いは、家ごとに事情が違うはずです。迷ったら、税理士や司法書士などの専門家に確認してください。


墓じまいの費用をかけずに、お墓を守る方法はある?(独自)

すぐに墓じまいを決めなくても、守り方を変えるという選択肢があります。 掃除や草取りを地元の親戚や業者に頼む、帰省の回数に合わせて手入れの仕方を変える、などです。墓じまいは一度やると元に戻せません。「抵抗がある」という気持ちがあるなら、まず「誰が、どれだけ守れるか」を数えてから決めても遅くないと考えています。

ここは、私がいちばん迷っているところです。

ご先祖から続くお墓を、自分の代で終わらせることには抵抗があります。

一方で、実家までは電車で2時間です。それに、自分が歳を取ってから、あの村に戻って暮らせるかというと、それも難しい。閉鎖的な村社会で、消防団や山作業、育成会にも協力してこなかった私を、受け入れてくれるとは思えないのです。

そこで、墓じまいを「する/しない」の二択ではなく、守り方の段階で整理してみました。

段階 お墓の守り方 かかるもの
今 父が年数回の掃除、私は盆と正月に手を合わせる 父の手間
父が動けなくなったら 私が帰省のときに掃除。間は地元の親戚や墓掃除の代行に頼む 交通費と代行費
誰も通えなくなったら 墓じまいを考える。親の希望と、きょうだいの合意を確かめてから 墓じまいの費用

表にしてみると、今いちばん足りないのは、お金ではなく情報だと分かります。

お墓の広さ。誰が眠っているか。お寺の墓地なのか、村の墓地なのか。管理費はいくらで、誰が払っているのか。私は、このどれも知りません。全部、父がやってくれていたからです。

把握しないといけない。今回、そう思いました。この空欄を埋められるのは、父が元気な今のうちです。墓じまいの費用は、その答えがそろってから見積もっても、遅くはありません。

まとめ:墓じまいの費用で、先に知っておきたいこと

  1. 墓じまいの費用は、全体でおよそ30万〜200万円前後。幅が大きいのは、墓石の撤去と新しい納骨先の違い
  2. 墓石の撤去は1㎡あたり10万〜15万円程度が目安。広い区画・傾斜地・重機が入らない場所は高くなりやすい
  3. 離檀料に明確な基準はない。納得できなければまず話し合い、困ったら消費者ホットライン「188」へ
  4. 改葬には市町村長の許可が必要。新しい納骨先を先に決める
  5. お墓は相続財産とは別に、祭祀を主宰する人が引き継ぐ。相続税はかからない
  6. 墓じまいは元に戻せない。決める前に、誰がどれだけ守れるかを数えておく

※この記事は、筆者が自分の実家のお墓について調べた記録です。費用は地域・お墓の条件・業者によって大きく変わります。相続・税金・契約に関わることは、税理士・司法書士・弁護士などの専門家に確認してください。


出典

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