ローカルLLMはMacで動くのか|16GBのMacBook Airで買い替えをやめた話【第3回】

AI起業の実験ログ

この記事の結論3つ

  • 16GBのMacBook Air(M3)で、ローカルLLMも画像AIも動きました。 動画AIだけは動きません
  • 買い替えは見送りました。 25万円以内で買えるMacは、どれも手持ちのWindows PCに勝てなかったからです
  • 最初の壁は性能ではなく、ストレージでした。 空きは58.73GBしかありませんでした

50代・非エンジニアです。プログラミングはできません。

この連載は、【第1回】「AI社員」を作ってAI起業を目指す体験談【第2回】ClaudeCodeとCoworkの違い の続きです。今回から、自分のパソコンの中だけでAIを動かす話に入ります。ちまたで話題のローカルAI導入ってやつです。

「自分のパソコンの中だけでAIを動かしたい」と思いました。理由は単純で、毎月お金がかからず、書いた内容が外に出ないからです。

この記事は、その思いつきから丸2日かけて、MacでローカルLLMを動かすところまで行った記録です。うまくいった話より、つまずいた話のほうが多く出てきます。


そもそもローカルLLMとは何なのか

ローカルLLMとは、自分のパソコンの中だけで動く文章生成AIのことです。

  • ローカル=手元、自分のパソコンの中
  • LLM=Large Language Model(大規模言語モデル)。文章を読んで文章を返すAIの本体

ChatGPTやClaudeは、あなたが打った文章を会社のサーバーへ送って、そこで考えて、返してきます。ローカルLLMは送りません。全部このパソコンの中で終わります。

そのぶん、次の3つが変わります。

クラウドのAI ローカルLLM
費用 月額(使うほど増える) 0円(電気代だけ)
送信 会社のサーバーへ送る どこへも送らない
賢さ とても賢い パソコンの性能なりに落ちる

私がやりたかったのは、大量の定型処理と、外に出したくない内容の下処理です。賢さで最高を求めていたわけではありません。だから「動きさえすればいい」つもりでした。

その「動きさえすれば」が、いちばん分からなかったのです。


最初にAIから言われたのは「買い替えを検討しては」だった

手持ちのMacの構成を伝えて、「これでローカルLLMは動きますか」と聞きました。

  • MacBook Air 13インチ・M3・2024年モデル
  • メモリ 16GB
  • SSD 256GB
  • macOS Sonoma

返ってきたのは、いきなり「はい動きます」ではありませんでした。「まず、買い替えたほうが早くないですか」という趣旨の話でした。

正直、面食らいました。買う気はなかったからです。ただ、理由を聞いてみると筋は通っていました。AIの速さは、パソコンの「メモリ帯域」でほぼ決まるというのです。


Q. AIの速さを決めるのは、CPUの速さではないのですか?

違います。決めるのは「メモリ帯域」です。

AIは、1文字返すたびにモデル全体をメモリから読み直します。だからメモリを読む速さが、そのまま返事の速さになります。

実際に比較してもらった数字がこれです。

チップ メモリ帯域 手持ちのWindows PCを100とすると
RTX 3060(手持ちのWindows PC) 約 360 GB/秒 100
M3(いまのMacBook Air) 約 100 GB/秒 28
M4(Mac mini の標準) 約 120 GB/秒 33
M5(新しいMacBook Airの標準) 約 153 GB/秒 43
M4 Pro(Mac mini の上位) 約 273 GB/秒 76
M4 Max(Mac Studio) 410 GB/秒〜 114〜

私のMacは、Windows PCの28%の速さでした。マジか…正直Macってカッコいい。同価格のWindowsと比べると性能的には劣るって話は聞いたことがありましたがこんなに差があるなんて…


買い替え比較の結果と、それでも見送った理由

予算を25万円と決めて、比較してもらいました。結論はこうです。

25万円以内で買えるMacは、どれも手持ちのWindows PC(RTX 3060)に勝てません。

理由は2つでした。

理由①:25万円で買えるMacは、メモリが16GB止まり

2026年8月の実勢価格で、14インチのMacBook Pro(M5・16GB/512GB)が約24.2万円。予算には入ります。ところがメモリは16GBで、いま使っているMacBook Airと同じでした。24万円出して、できることが1つも増えません。

32GBにすると36.5万円〜。予算を11万円超えます。

理由②:2026年はメモリが歴史的に高騰している年

よりによって、ローカルAIに必要なものがいちばん値上がりしている時期でした。キオクシアの株価が1年で10倍とかになってますもんね…

そして決定打がこれです。動画AIをMacでやるには32GB、快適には48GB必要でした。つまり「Windows PCにできてMacにできないこと」を消すには、最低でも32GBのMacが要る。予算内では届きません。

だから買いませんでした。隣の芝生をうらやましがってないで、今、目の前でできることをやる。

代わりに決めたのは役割分担でした。

Windows PC MacBook Air
文章AI 14B級・重い一括処理 9B級・日常の対話
画像AI 大量生成 少量の試し打ち
動画AI ここだけ やらない

「勝てないから買う」ではなく、「勝てないなら分ける」。 これがこの2日でいちばん腑に落ちた考え方でした。


Q. MacにはVRAMが無いのに、なぜローカルLLMが動くのですか?

Windowsの解説記事を読むと、必ずVRAM(ブイラム)という言葉が出てきます。グラフィックボードが持っている専用のメモリのことです。

Macには、それがありません。 代わりにユニファイドメモリ(統合メモリ)という仕組みを使います。1つのメモリを、CPUとGPUで共用するやり方です。

  • Windows:普通のメモリ32GB + グラフィックボード専用12GB(別々)
  • Mac:16GBを、みんなで分け合う

だから「メモリ16GB」と書いてあっても、16GB全部をAIに使えるわけではありません。 macOSがGPUに貸すのは全体の約70%まで。そこからOSとアプリの分が引かれます。

構成 AIに実際に使える量
Mac 16GB(私) 8〜10GB
Mac 24GB 約16GB
Mac 32GB 約22GB

この「8〜10GB」が、私にできることの上限でした。


16GBのMacでできること・できないこと

やること 16GBのMacで 補足
文章AI(9B級) ○ 動く 日常の対話は困りません
文章AI(14B級) ✕ やめたほうがいい メモリに載らず、極端に遅くなります
画像AI(SDXL) ○ 動く 圧縮なしで動きます
動画AI(Wan 2.2) ✕ 無理 Windows PCの担当です

「9B」「14B」とは、AIの規模を表す数字です。Bは Billion(10億)で、モデルの中にある調整つまみの数を指します。数が多いほど賢く、そのぶん重いと考えて構いません。

私が入れたのは Qwen3.5 の 9B。ファイルの大きさは 5.57GiB でした。8〜10GBの枠に、ちょうど収まる大きさです。

実測はこうなりました。

測ったこと 結果
モデルの読み込み 19.29秒
文章を返す速さ 16トークン/秒
画像1枚(SDXL・1024px・初回読み込み込み) 85秒

比較のために書いておくと、Windows PC側の 8B モデルは 59.7トークン/秒でした。約3.7倍です。数字で見ると差は歴然ですが、Macの16トークン/秒でも、読みながら待てる速さではあります。


最初の壁は、性能ではなくストレージだった

ここまで性能の話をしてきましたが、実際に最初にぶつかったのは容量でした。

Macの「ストレージ」画面を開いた結果がこれです。

項目 容量
合計 245.11 GB
使用済み 186.38 GB
空き 58.73 GB

入れる予定だったものを足すと、こうなります。

  • ローカルLLMのモデル … 約7GB
  • 画像AIのモデル … 約6.5GB
  • AIツール本体 … 数GB

計算上は入ります。ただし残りが40GBを切ります。 SSDは空きが少ないと動作が不安定になりますし、そもそも普段の仕事で使うMacです。

掃除が必要でした。


Q. Macの「ストレージ」画面が「計算中」から進みません

これ、実際に起きました。10分以上「計算中」のまま動きませんでした。

待つのをやめて、ターミナル(黒い画面)で直接測らせることにしました。これが正解でした。

  • 画面の「計算中」は、待っても終わらないことがある
  • ターミナルなら数秒で正確な内訳が出る
  • その操作こそ、AIにやらせるべき仕事

だから私は、掃除より先に Claude Code(ターミナルで動くAI)を入れました。 順番を逆にしたのは、これが理由です。


掃除をAIにやらせた:測る → 人が決める → AIが消す

やり方は3段階に分けました。この分け方が大事です。

① 測る(AIがやる)どのフォルダが何GB使っているかを、ターミナルで一覧にしてもらいます。ここは全部AIの仕事です。

② 決める(人がやる)出てきた一覧を見て、「これは消す」「これは残す」を私が決めます。 ここだけは人間の仕事です。AIに「不要そうなものを消しておいて」とは絶対に言いません。

③ 消す(AIがやる)決まったものを消してもらいます。

結果、空きは 58.73GB から 約82GB になりました。 23GBほど空いた計算です。

そのあとローカルLLMと画像AIを入れて、最終的な空きは約75GB。運用ルールとして「空きが40GBを切ったら、使っていないモデルを消す」と決めました。モデルはいつでも落とし直せます。消して失うのは時間だけです。


この回でわかったこと

  1. AIの速さを決めるのは、メモリ帯域と「実際に使えるメモリ量」の2つだけ。 カタログのメモリ容量をそのまま信じない
  2. 16GBのMacは、9B級の文章AIと画像AIまで。 動画は無理だと最初に線を引いたほうが、迷わずに済む
  3. 最初にぶつかるのは性能ではなくストレージ。 そして掃除は「測る=AI/決める=人/消す=AI」に分けると安全

そして、いちばん意外だったこと。

買い替えを検討したこと自体は、無駄ではありませんでした。 「なぜ買わなくていいのか」を数字で確認できたので、あとで欲しくなったときに迷わないからです。


次回

次は、実際にアプリを入れる話です。入れたのは3つだけなのに、丸1日かかりました。

公式サイトから入れたら別のアプリが落ちてきたり、ダウンロードが97%で止まったり、「3分6秒かかった=性能不足」と勘違いしたり。つまずいた6か所を、全部書きます。

LM Studio の使い方でつまずいた6か所|Macに無料AIを入れるのに丸1日かかった話

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